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はじめに
今年もまた、HokkaidoWilds.org にとって北海道を探検する一年となった。北海道は、底知れぬ、無限の冒険のキャンバスのような場所である。ウェブサイトの訪問者数は、今年も過去最高を記録した。このことに、私たちは本当に喜びを感じている。私たちの情報が、多くの人にとって役に立ち、そしてサイトや北海道に再び訪れたいと思ってもらえていることを、とても嬉しく思っている。
一方で、アクセス数の増加に伴い、サイトの運営コストも大幅に上昇している。これを受けて、今後どのように必要な経費をまかなっていくかを真剣に考え始めている(なお、ここでいうコストはあくまでウェブサイト運営費のことで、現在もルート取材にかかる費用のごく一部しかカバーできていない)。
この1年で私たちが取り組んできたことの詳細については、以下をご覧ください。
要旨
ルートガイド
今年は本業が多忙だったこともあり、HokkaidoWilds.org のルートガイド作成に割ける時間がこれまでで最も少ない一年となった。
ウェブサイトのアクセス数
HokkaidoWilds.org は、2024年度も引き続き過去最高の訪問者数を記録し、2025年1月には約35,000件のアクセスがあった(ページビューは15万以上)。
ウェブサイトの運用費
今年新たに直面したのは、ウェブサイト運営コストの急増であった。Google Maps API の利用料や Fastly.com のCDN費用などが大きな負担となっている。地図の販売や読者からの寄付では、これらの費用をまかないきれていないのが現状である。
1年間のルートガイド公開など(2024年4月1日~2025年3月31日)
山スキールート
2024年度は、6本の山スキールートを公開した。その中でも印象的だったのは、謎めいた坊主山ヒュッテを目的地とするルートである。雪質こそ最高とは言えなかったが、山小屋で一夜を過ごすには最高のロケーションであった。
すべての山スキールート: https://hokkaidowilds.org/skitour
パドリング・ルート
2023年度は23本のルートを公開したのに対し、今年はわずか6本と控えめな公開数となった。しかし、その中には、3年前にシーカヤックを始めたときからの大きな目標が含まれている。それは、北海道東部にある野性味あふれる知床半島の一周である。北海道、いや日本全体でも屈指のノンウィンター・アドベンチャーと言える体験であった。
すべてのパドリングルートを見る: https://hokkaidowilds.org/water
ハイキング
今年もハイキングに関しては静かな一年となった。2024年に公開したルートは、風光明媚な天売島・焼尻島でのバックパッキング旅の1本のみである。
すべてのハイキングルートを見る: https://hokkaidowilds.org/hike
アウトリーチ
プロジェクト活動
- 国土交通省北海道運輸局「北海道バックカントリースキープロジェクト」
今年は、北海道運輸局の「北海道バックカントリースキープロジェクト」に協力する機会をいただいた(詳細はこちら)。これは、北海道の行政機関が初めて、外国人によるバックカントリー利用の実態を調査・分析した試みであった。プロジェクトは佐々木大介氏が主導し、二宮俊介氏が巧みに全体を運営した。トレイルヘッドでのカメラ設置、オンラインおよび現地での大規模アンケート調査、冬山での遭難事案の分析など、多岐にわたる取り組みが行われた。以下のリンクより各種報告書を閲覧可能である(北海道運輸局ウェブサイトにも掲載中)。
講演・イベント出演
今年もさまざまなイベントやシンポジウムで登壇の機会をいただいた。
RGS-IBG 年次国際学会(ロンドン)
Robが登壇し、日本の地理院地図データを活用したHokkaidoWilds.orgの印刷用地図作成について発表(2024年8月28日・発表資料)。利尻礼文サロベツ国立公園 50周年記念シンポジウム
環境省主催イベントにて、Robが日本最北の国立公園の魅力と課題についてパネルディスカッションに参加(2024年10月5日・リンク、資料)。日高地域観光ネットワーク会議
Robが、地域におけるアウトドアアドベンチャーの魅力をWebでどう発信するかについて講演(2024年11月16日・発表資料、新聞記事)。大雪山国立公園90周年記念シンポジウム
Robが環境省主催のパネルディスカッションに登壇し、「ブランドづくり」や「持続可能な利用者負担モデル」についての意見を共有(2025年12月15日・詳細、資料)。
メディア掲載
Powderlife Magazine
ニセコ発のライフスタイル&トラベル誌『Powderlife』にて、北海道の山小屋に関する記事が掲載され、当サイト撮影の写真を多数使用いただいた。記事全文はこちら。Backcountry Magazine
米国の『Backcountry Magazine』にて、Betsy Manero氏による北海道のバックカントリースキーの歴史と現状を詳細に掘り下げた特集記事にて、インタビュー掲載。記事は印刷版またはPDF版で閲覧可能。
委員会活動
- 大雪山国立公園連絡協議会
Robは、大雪山国立公園に関係する多様なステークホルダーから構成される「大雪山国立公園連絡協議会」の委員を務めている。現在の主な役割は、国立公園関連資料の英訳レビュー作業である。
将来の目標
2025年の目標達成状況を見れば、私たちが過去5年間でどのアウトドア活動を特に好んできたかがよく分かる。どうやら、山スキーとパドリングには特別な思い入れがあるようだ。今年中にハイキングルートやサイクリングルートの目標達成は難しそうだが、いずれ必ず取り組む予定である。
2025年の目標への進捗状況
アクセス数の統計
ページビュー数は、2023年と比べて2024年に60%増加した。初回訪問ユーザー数も30%増と大きく伸びた。こうしたアクセスの増加に安定して対応できているのは、HokkaidoWilds.org のバックエンドを支えてくれているAndyさんのおかげであると、あらためて深く感謝している。
一方で、本業の忙しさがHokkaidoWilds.orgのコンテンツ制作時間やエネルギーに食い込んでいる影響も見られ、InstagramやFacebookなどのソーシャルメディアでの投稿頻度やエンゲージメントには波があった。それでも、投稿した際には10%前後という高いエンゲージメント率を維持しており、情熱的なフォロワーの皆さんの反応にはいつも励まされている。Instagramのフォロワー数も現在5,500人を超え、着実に成長している(ありがとうございます!)。
ウェブサイトのエンゲージメント
2024年のHokkaidoWilds.orgの訪問状況で特に顕著だったのは、ページビューの大幅な増加である。新規訪問者が30%増えた一方で、ページビューは約2倍に達した。これはつまり、これまで以上に多くの訪問者が、1回の訪問あたりにより多くの時間をかけてコンテンツを閲覧してくれていることを意味している。
ソース別のアクセス
ソース別のアクセスの割合
地域別のアクセス
地域別のアクセス(時系列)
InstagramやFacebookのエンゲージメント率(インプレッション)
InstagramやFacebookのオーディエンス
ページ別のページビュー(年間)
会計の概要(2024年4月~2025年3月)
収入面では、読者の皆さまからのご寄付に大変励まされた一年であった。KofiやPaypalを通じて、約20万円(US$1,340)ものご支援をいただきました。本当にありがとうございます。これは過去数年と比べて大幅な増加であり、サイト訪問者数の増加を反映していると言える。なお、いただいた寄付の50%は北海道ワイルズ財団(Hokkaido Wilds Foundation)に充てられている。地図の販売も堅調で、国内外の取扱店の皆さまのご支援にも感謝している。
一方で、収入が増えたとはいえ、ウェブサイト関連の費用増加はさらに顕著であった。ユーザー数・ページビュー数の増加は、CDN(Fastly.com)やGoogle Maps APIといった使用量に応じた課金の増加として跳ね返ってきた。Fastly.comの費用は2024年10月以降、月額US$100(約15,000円)を超えており、Google Maps APIの費用も驚くほど高額で、2025年1月には2万円を超えた(※HokkaidoWilds.orgでは、ルートピン付きの埋め込み地図でAPIを利用している)。なお、Google Maps APIに費用が発生したのは今年が初めてである。
このような「使用量ベース」のコスト増は、キャッシュフロー上の課題となりつつある。今年の総収入は637,259円であったが、その約半分は、Rob個人の外部業務によるものであった。たとえば、政府のバックカントリー調査や環境省関連の翻訳業務である。これらの仕事はやりがいがある一方で、HokkaidoWilds.orgのルートガイド作成や地図制作にあてる時間が削られてしまうのも事実である。理想としては、もっと多くの自由時間をHokkaidoWilds.orgのコンテンツ作成に充てたい。今後は、サイト利用者の皆さんにも持続的な運営へのサポートをお願いできるような方法(マーチャンダイズ販売など)を検討していきたい。
また、コスト面で言えば法人税も依然として大きな負担である。今年は178,200円を納税した。この税金は寄付金にはかからず、地図販売やコンサルティング業務(例:政府調査への協力報酬)などの収益に対して課される。税率そのものには特段の不満はないものの、法人課税には「均等割」と呼ばれる固定費が存在し、札幌市に50,000円、北海道に20,000円の支払いが必要であった。そのため、利益が少ないほど実質的な税率(税負担率)が高くなり、今年は利益414,860円に対して税額178,200円、税負担率は40%を超えた。
こうした状況を踏まえ、法人格取得(特に非営利型一般社団法人)への移行を真剣に検討する段階に来ている。法人格を取得すれば、一定の条件下で均等割の免除が可能になるかもしれない。さらに、法人格があれば、Fastly.comの「Fast-Forward Program」(非営利団体向け無料CDN提供)への申請がより現実的となり、年間で数十万円規模の費用削減が見込まれる。今年度はこのあたりを本格的に動き出す予定である。
運用口座 | ||
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収入 | ||
A) 2024年4月1日に繰越 | 492,596 | |
Kofi経由の寄付(50%) | 66,843 | |
Paypal経由の寄付(50%) | 20,190 | |
その他の寄付 | 14,509 | |
地図販売(卸) | 220,000 | |
地図販売(アマゾン) | 34,517 | |
委託業務 | 302,523 | |
受取利息 | 45 | |
B) 収入合計 | 648,627 | |
支出 | ||
ウェブサイト(ライセンス料、ホスティング、CDN、Google MapsAPIなど) | 444,971 | |
ソフト(Adobe, Freee会計 など) | 89,074 | |
取材費(旅費、交通費など) | 14,590 | |
事務的な諸費用 | 23,739 | |
ギアの購入や修理 | 8,850 | |
ギア(シーカヤック、自転車キャリア) | 76,573 | |
C) 支出合計 | 648,947 | |
D) 法人税 | 178,200 | |
年度末(2024/3/31時点) (A+B)-(C+D) | 411,272 |