初めに
HokkaidoWilds.orgのサイト訪問数から見る限り、北海道は、インバウンドのデスティネーションとして、確実にパンデミックから回復しているようです。2023/2024年の冬シーズンには、ウェブサイトの訪問者で言うと記録的な数の訪問者がありました。現地においても、特に十勝連峰のバックカントリーでは、多くのスキーヤーが訪れている様子が観察され、ウェブサイトのアクセス数でみていたこと(訪問者数が過去最多となっていること)は、実際の現地での状況で実感できました。現地に行っても、世界中から多くの人が北海道の冬の山々を楽しんでいるのを目にすることができ、心が温まりました。
また、Niseko Backcountryの売上も好調で、2023年には約140万円を山岳関連の慈善事業に寄付することができ、とても嬉しく思っています。
要旨
ルートガイド
2023年には、23のパドリングルートと9つのバックカントリースキーのルートを公開しました。すべてのルートには高品質の印刷可能なPDF地図があり、無料でダウンロードできます。
寄付活動
Niseko Backcountryスキーマップの好調な売上に支えられ、2023年には道内の山岳関連の慈善活動に140万円を寄付することができました。
ウェブサイトへのアクセス
HokkaidoWilds.orgは、2023年度も記録的な訪問者数を記録し、2024年1月には約35,000件の訪問がありました。
1年間のルートガイド公開など(2023年4月1日~2024年3月31日)
バックカントリースキー
2023年度には、合計で9つのスキーツーリングルートを公開しました。その多くは十勝連峰や大雪山連峰に焦点を当てていましたが、旭川市の北にある幌加内エリアにいくつか、またキロロスキーエリアの隣にも1つ追加しました。
バックカントリースキーのルーツはこちら: https://hokkaidowilds.org/skitour
パドリング
2023年度は、ホワイトウォーターとシーカヤックのルートを大幅に充実させた一年となりました。2023年に公開した23のパドリングルートのうち、14はシーカヤックルートで、8は鵡川や沙流川などの代表的な川のホワイトウォーター区間でした。
パドリングルートはこちら: https://hokkaidowilds.org/water
アウトリーチ
寄付活動
2023年には、北海道のアウトドアコミュニティに多少の寄付を行うことができました。ニセコバックカントリー地図の売上利益、読者からの寄付、HokkaidoWilds.orgの著者による個人寄付などにより、山小屋管理、雪崩情報発信、山岳捜索救活動など、北海道の山岳エリアの安全や利活用に取り掛かっている団体に1,438,000円を寄付することができました(詳細はこちら)。
講演など
過去と同様、2023年も多くのイベントやシンポジウムで講演の機会をいただきました。
- 国土地理院ファンクラブ | 国土地理院のマップファンクラブで、ニセコバックカントリー地図の開発について発表するためにロブが招待されました(2023年6月10日 – リンク)。
- 2023北海道ドライブ観光推進プラットフォームセミナー | 北海道を訪れる外国人観光客向けの情報発信において明確なターゲットを持つ重要性について講演し、HokkaidoWilds.orgを例として紹介しました。主催は国土交通省(2023年7月26日 – リンク)。
- 北海道インバウンドフォーラム2023 | 北海道運輸局主催の「北海道インバウンドフォーラム2023」で、ロブがトークセッションを進行しました(2024年2月20日 – リンク)。
メディア
- AirDo機内誌「ラポラ」 | ロブはAirDo(ANA)の機内誌ラポラのスタッフから、北海道でのバックカントリースキーに関するインタビューを受けました(リンク)。
委員会活動
- 北海道アウトドアフォーラム|北海道のアウトドア業に携わる200人以上の人々が毎年集まる北海道アウトドアフォーラムの運営に、2023年も関わっていました。ロブは、当フォーラムの専門委員会の一員でもありました。
将来の目標
2023年には、サイトに掲載するスキーツーリングルートとパドリングルートの数でいうと、5年間の目標を達成しました。まだまだ探求すべき場所がたくさんあると感じていますので、目標を達成しても、取材活動を続けて行こうと思っています。
ハイキングルートに関しては、もう少し力を入れるべき分野かもしれません。しかし、私たちの主な焦点は、他にあまり情報が公開されていない北海道のアウトドア活動(特にバックカントリースキーとパドリング)に焦点を当てようとしていますので、比重としては、これからもどちらかというとバックカントリースキーやパドリングのルートに力を注ぎ続けようと考えています。
2025年の目標への進捗状況
ウェブサイトの統計
今年、HokkaidoWilds.orgのサイト訪問者数が昨年の2倍近くに増加したことは驚くべきことです。これは、世界的な旅行トレンドを反映しているのかもしれません。パンデミック中に海外旅行ができなかったため、旅行予算に余裕があり、3年間の旅行制限で待っていた「日本の体験」を取り戻そうとしている人々が多いのかもしれません。
例年通り、1月と2月には大きな訪問数のピークがあります。まさに最高のパウダースキーシーズンです。
経路別のアクセス数
経路別のアクセス比率
地域別のアクセス比率
地域別のアクセス数
インスタグラムとファイスブックのエンゲージメント率(インプレッション毎)
サイト内のページランキング(ページビュー)
会計の概要 (2023年4月~2024年3月)
Niseko Backcountryの引き続き良好な売上(購入していただいた皆様、ありがとうございます)に加えて、2023年度のHokkaidoWilds.orgの財務における大きな変化ともいえることは、任意団体の収入と支出について、もう少し真剣に会計処理を行う必要性が出てきたことでした。
この必要性がでてきたのは、Niseko Backcountryの売上から北海道の山岳安全やアクセス課題に取り掛かっている団体への寄付が可能になったことや、法人税を支払う必要が生じたことでした。HokkaidoWilds.orgは任意団体ですが、Niseko Backcountryは収益事業であるため、法人税を支払う団体として登録し(法人番号を取得し)、その収益事業部分の納税申告を行う必要がありました。
Timbahの紹介で、プロボノで支援してくれる会計NPO「Accountability for Change」を紹介してもらい、大変助かりました。収入と支出をより適切に分類するためのサポートを受けました(会計には有料ソフトのFreeeを使用しています)。
その結果、2022年度には6,000円強の利益があり、国に対して合計100円の税金を支払わなければならないことが判明しました。しかし、法人税支払い義務のある団体として登録したことにより、札幌市の定額法人税70,000円も支払わなければならないことになりました(これは、収益が赤字であってもすべての法人税支払い義務のある団体が負担するものです)。
また、2023年度のHokkaidoWilds.orgの収益事業部分(地図の販売)については、他団体への寄付による税控除後、136,048円の利益を計上しており、2024年度にその分の税金を支払う予定です。
基金 | ||
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収入 | ||
A) 2023年4月1日の繰越 | 22,774 | |
Kofi.comの寄付 (50%) | 15,414 | |
B) 基金収入合計 | 38,188 | |
支出 | ||
羊蹄山ろく消防組合への寄付 | 38,188 | |
C) 支出合計 | 38,188 | |
年度末 as of 2024/3/31 (A+B)-C | 0 |
運用口座 | ||
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収入 | ||
A) 2023年4月1日に繰越 | 281,878 | |
寄付(Kofi.com) | 61,301 | |
寄付(その他) | 93,886 | |
地図販売(卸) | 904,717 | |
地図販売(アマゾン) | 165,177 | |
地図販売(Avenza) | 51,058 | |
アフィリエイト収入 | 12,386 | |
B) 収入合計 | 1,288,525 | |
支出 | ||
ウェブサイト(plugin licenses, hosting, CDN, Adobe subscription etc) | 259,709 | |
地図開発や販売(印刷、開発など) | 88,802 | |
取材費用(移動費) | 5,131 | |
雑費 | 20,923 | |
ギア | 8,850 | |
寄付(羊蹄山ろく消防組合) | 156,292 | |
寄付(日本雪崩ネットワーク) | 140,000 | |
寄付(ニセコアンヌプリ地区なだれ事故防止対策協議会) | 50,000 | |
寄付(NAMTBA) | 77,000 | |
寄付(奥手稲山の家) | 50,000 | |
寄付(無稲山小屋) | 50,000 | |
寄付(天塩岳の薪) | 50,000 | |
寄付(暑寒荘) | 50,000 | |
C) 支出合計 | 1,006,299 | |
D) 法人税 | 71,100 | |
年度末 as of 2023/3/31 (A+B)-(C+D) | 492,596 |