統計
遭難時の構成人数の分布を外国人と日本人に分けて比較したところ、単独で山行をしていた日本人遭難者が35%であることに対して、単独の外国意人が12%であった。
2014年~2019年の冬山遭難事件の構成人数の分布を、集団間の分布を比較するためのマン・ホイットニーのU検定で比較したところ、日本人が遭難したときの構成人数の中央値が2名に対して、外国人の構成人数が3名で有意に多いことがわかった(N = 240, U = 4,688.5, z = -4.481, p < .001, r = -.28)。
はじめに
要旨
スキー遭難:スキー場区域外から出て滑走中の「スキー遭難」に関しては、年々の遭難者伸び率が30%以上になっている。スキー遭難に比較的に多いのは外国人。遭難原因として、国籍を問わず道迷いが最多。スキー遭難で外国人の負傷者が多い。
スキー登山遭難:登山口などから入山して、いわゆる「バックカントリースキー(スキー登山)」での遭難者は上記のスキー遭難者より少ない。スキー登山遭難者で比較的に多いのは日本人。日本人のスキー登山遭難では道迷いや悪天候という原因が多い。
その他山岳遭難(冬):この分類でも日本人遭難者が多い。道迷いが最多の原因。他の遭難形態よりも死者が突出的に多い。
重要:冬山の入山者数のデータが存在しないため、「遭難率」を算出することができず、どのような入山者の遭難リスクが高いかを推定することが不可能。
目次
スキー遭難の集計
スキー遭難件数は年々平均30%以上増えている
遭難状況の詳しい個人レベルデータは過去5年間の分しか公開されていないが、国籍を問わずスキー遭難の件数が年々増えている(以下の図1に参照)。つまり、絶対的な数でいうと、スキー場から出て滑走する際中に遭難する人の数が増えている。
逆に言えば、スキー場から出て滑走する人数の伸び率(増加の速さ)が遭難する人数の伸び率よりも大きいのであれば、それは逆に、サイドカントリーという行為がより安全になってきている、ということになる。
日本人スキー遭難件数よりも外国人スキー遭難件数が約25%多い
「どこにいるかわからない」
以下の図2によると、国籍と関係なく、スキー場区域外に出て遭難する「スキー遭難」に関しては、遭難原因が最も多いのは「道迷い」。去年、HokkaidoWilds.orgのトムソン氏が北海道警察の山岳安全担当者と会って、近年の遭難傾向を伺ったところ、「スマートホンをGPSとして使えるということが知っていれば、遭難の90%ほどが起こらなかったのでは」と言われた。スキー遭難に関していうと、多くの場合は経験の少ないスキーヤーが下調べせずに区域外に出てしまっていることを示唆する結果となっている。 2020年の冬シーズンから導入される新ニセコルール(ビーコンやヘルメット着用の義務化[IMG])がこの辺りの遭難にどのように影響するかが気になるところである。
スキー遭難で怪我する外国人が多い
スキー登山遭難の集計
スキー登山遭難が圧倒的に少ない
日本人スキー登山遭難者が多い
日本人スキー登山遭難に悪天候や道迷いが大きな原因
スキー登山で怪我して遭難する外国人が多い
その他山岳遭難の集計
日本人の遭難者が多い
また道迷いか
その他山岳遭難がより重大な帰結を伴う
データについて
北海道内の山岳遭難状況に関して丁寧にテータを公開する北海道警察本部地域企画課に感謝です。英語話者も本データに参考できるように、HokkaidoWilds.orgは公開される遭難状況PDF(例)をデータベース化して、英訳して、検索やフィルタリングできるようにシステムを独自に開発しました。最新のデータをこちらからダウンロードできます:Excel (911kB)