初めに
2022年は、任意団体HokkaidoWilds.orgとして活動開始から4年目でした。2022年の前半は、日本はまだパンデミックモードでしたが、ちょうど冬が始まる直前に水際対策が全面的に緩和され、海外からの冒険好きな旅行者が一気に日本に戻り、HokkaidoWilds.orgは過去最多のウェブサイトのアクセス数を記録しました(2023年1月に15000人以上のユニークアクセス)。
また、ニセコエリアのバックカントリースキールートを紹介する英語表記地形図「ニセコバックカントリー」を出版することができました。2022年は、北海道シーカヤック取材プロジェクトの1年目のシーズンでもあり、北海道の素晴らしい沿岸地域を探索するのが我々にとって一年の大きなハイライトでした。
要旨
ルートガイド
2022年に22のバックカントリースキールートと7のパドリングルートを公開しました。これらのルートガイドにはすべて、無料でダウンロードできる高品質の印刷用英語表記地形図(PDF)が含まれています。
ニセコエリアのバックカントリー用地形図
ニセコエリアの英語表記バックカントリースキー用紙地図(地形図)「ニセコバックカントリー」をついに出版しました。当地図は、2年間の開発や取材と、地元のバックカントリーコミュニティーとの7ヶ月以上の対話の成果だと言えます。すでに1,100部が販売されました。利益が出れるタイミングに、ニセコエリアの山岳ボランティア団体にその利益分を寄付する予定です。
ウェブサイトへのアクセス
日本へのインバウンド観光の回復に伴い、2018年にサイトを開設する以来最多のサイトアクセス数を記録しました(2023年1月は15,000のユニークアクセス)。
謝辞
- 2022年度もHokkaidoWilds.orgの読者の皆様には、励ましのコメントや私たちの北海道での冒険をフォローしていただき、大変感謝しています。
- また、ニセコバックカントリースキーマップを取り扱ってくれた地元ニセコの小売店には特別な感謝を捧げます。こちらでご覧ください。下記の会計の内訳を見ると、地元の小売店は私たちの地図の最大の収入源であることがわかります。感謝申し上げます。
HokkaidoWilds.orgの友達
2022年のHokkaidoWilds.orgの成功は、例年通り、一緒に冒険したり、活動を企画したり、そして貴重なアドバイスをしてくれた以下の素晴らしい人々のおかげです。HokkaidoWilds.orgの共同設立者であるロブとヘイディ―は、これらの素晴らしい人々と共に北海道の素晴らしい大自然を楽しむことができたことを光栄に思っています!
「Niseko Backcountry」の出版
2022年のハイライトは、ニセコエリアのバックカントリースキー用の英語表記地形図「Niseko Backcountry」を出版したことです。この地図は、これまでの私たちの地図作りノーハウの蓄積、現地での取材、ニセコのバックカントリーコミュニティとの連携など、を反映する大きなプロジェクトでした。全体的に、当地図への反応はとても肯定的でした。一方、ニセコ地元の関係者らとの会談などを通じて、本地図プロジェクトは北海道のバックカントリースキーの持続可能性に関連する多くの課題を明確化しました。登山口へのアクセス(駐車場)、人気なゾーンの飽和、国内外スキーヤーの安全性など、ニセコエリアが抱える多くの問題と関連して、地図に対する反対の声もありました。
- ニセコ地元関係者への説明会の報告 (PDF, 1.5Mb).
- 地図の特設ウェブページ: https://hokkaidowilds.org/niseko-backcountry-topomap-companion-site
- 2022年度の販売部数:1077部
- 山岳安全団体への寄贈部数:50部 (詳細)
- 地図販売の収益について:以下の「会計」に参照。予定として、地図から発生する利益(収入-費用)をニセコ周辺の山岳安全や利活用に取り組む団体に寄付します。利益が今のところありませんが、来年をめどに利益が出ることを期待しています。
ネットで「Niseko Backcountry」を購入
1年間のルートガイド公開など(2022年4月1日~2023年3月31日)
バックカントリースキー
2022年度には、合計22本のスキーツーリング用ルートを公開しました。その多くはニセコエリアにあり、ニセコバックカントリーマップの掲載ルートをできるだけ多く詳しいルートガイドを公開したかったからです。また、大雪山や十勝岳連峰といった道央の山々にも目を向け始めました。
バックカントリースキーのルーツはこちら: https://hokkaidowilds.org/skitour
パドリング
2022年は、北海道のシーカヤックフィールドを取材するプロジェクトの第1年目でした。感銘をうける一シーズン目でした。北海道の海岸には、険しい断崖絶壁、海食洞、透明な水、多様な野生生物、そして北海道のアウトドアで他のアクティビティではめったにアクセスできない大自然を感じられる極めて人里離れたスポットなど、信じられないほどの宝石があることがわかりました。
2022年に公開した7つのパドリングルートガイドの他にも、あと7つほどのフィールドも2022年内に取材はしましたが、投稿に手が回りませんでした。他のルートガイドと同様、シーカヤックのルートガイドにも、利用者が自宅のプリンターで印刷できるPDFマップを公開しています。ただし、シーカヤックのマップは、海図データと陸上地形図データの組み合わせなどが必要で、他のマップに比べ、少なくとも2倍の時間が必要です。そのため、シーカヤックのルートガイドを公開するに時間がかかってしまいます。それでも、北海道の素晴らしい海岸を取材し、精度の高い地図を提供し、多くの英語話者のシーカヤッカーに知ってもらいたいです。
パドリングルートはこちら: https://hokkaidowilds.org/water
他の主要な記事
- 2019年~2021ねんにかけて、北海道の湖や川を冒険した結果、北海道でカヌーを楽しむためのトップ10選のカヌーフィールドに関する記事を公開しました。
- 地形図「Niseko Backcountry」の特設ウェブページを公開しました。「Niseko Backcountry」は、オンラインとアナログの情報を融合させたものにしたいと考えていましたので、地図に付随して、詳細なルートガイドが載った総合的なウェブページを公開しました。
- 他の地図作成者が「Niseko Backcountry」を再現するために必要なデータを無償で公開しました。データをオープンソースにすることで、日本国内で英語で書かれた地図が増えると願っています。
アウトリーチ
講演
昨年度と同様、いくつかのオフラインのイベントやシンポジウムに招待され、講演することができました。
- カンタベリーシーカヤックネットワークトーク(ニュージーランド・クライストチャーチ) – ヘイディ―とロブは、ニュージーランド・クライストチャーチにあるアウトドア店Further Fasterで、満員のギアルームに北海道での冒険について話すことができました。DIYで冒険する旅行者に対して北海道について語ることはとても光栄なことでした(2022年8月23日/詳細/当日の資料)。
- 第9回留萌地域ツーリズム勉強会:留萌管内の観光関係者40名ほどが参加したセミナーで、ロブはHokkaidoWilds.orgが考える留萌管内のアドベンチャーツーリズムの可能性について話しました。主催:国土交通省(留萌開発建設部)(2022年12月5日)。
- 国際山岳年プラス20シンポジウムin黒部:富山県(黒部市)で開催された国際山の日シンポジウムに招かれ、大雪山連峰の登山の課題と可能性に関する見解について講演しました(2022年12月10~11日/詳細)。
- 日本政府観光局(JNTO)オランダ北海道ウェビナー: ロブがオランダの旅行会社約60社が参加したウェブにアーで北海道の冒険について講演しました(2023年2月23日)。
コラボレーション
- 北海道警察の「バックカントリースキーに関するお知らせ」の英語版の添削に協力しました。このチラシは、北海道の冬山を楽しむ際の危険性について、バックカントリーの訪問者に知らせるチラシです。
メディア
- 北海道新聞(2023年2月2日) – ニセコエリアのバックカントリースキーマップ「Niseko Backcountry」に関する記事(リンク/スクリーンショット)
- 読売新聞(2023年2月4日) – ニセコエリアのバックカントリースキーマップ「Niseko Backcountry」に関する記事(リンク/英訳)
委員会活動
- 北海道アウトドアフォーラム|北海道のアウトドア業に携わる200人以上の人々が毎年集まる北海道アウトドアフォーラムの運営に、2022年も関わっています。ロブは、当フォーラムの専門委員会の一員でもあります。
- 北海道アウトドアネットワーク(HON)|ロブは、北海道アウトドアネットワーク(HON)委員会の一員です。HONは北海道のアウトドア業のオンラインポータルとなることを目指し、より幅広い北海道のアウトドア業の関係者のネットワークを広がり、教育し、成長させることを目的としています。
説明会
- 「Niseko Backcountry」についてニセコ周辺にて現地で2回開催しました。多くの参加者(1回目:30名、2回目:15名)が参加してくださり、地元のスキー業関係者と直接交流し意見を交換し合う貴重な機会となりました(報告書はこちら)。
将来の目標
2025年までにスキーツーリング150ルートという目標を達成する可能性が非常に高いです。特に北海道の中央部や、利尻山を含む道北のルートなど、まだまだ取材したいルートがたくさんあります。パドリングルートも同様で、現在、少なくとも取材完了5つほどのパドリングルートがまだ公開しておらず、まだまだ資材したいフィールドもたくさんありますので、目標が達成できそうです。
夏登山とサイクリングのルートは、もっとペースを上げ、頑張らないと。
2025年の目標への進捗状況
ウェブサイトの統計
2020年から2022年半ばまで、パンデミックによって訪問者数が大きく落ち込みましたが、水際対策が全面的に緩和されたことで、サイトへのアクセス数が大幅に増加しました。2022年/2023年の冬季には、過去最多の月間ユニークビジター数15,000人超を記録しました。Instagramのフォロワー数も過去最多を更新し、3,000人以上がフォローしてくれています。
※グラフはPCなどの大きめの画面でご覧ください。
経路別のアクセス数
経路別のアクセス比率
地域別のアクセス比率
地域別のアクセス数
会計の概要 (2022年4月~2023年3月)
HokkaidoWilds.orgは、「財団(寄付用)」口座と「運営」口座、2つの口座を持っています。
1. 寄付用口座: Amazon.co.jpのアフィリエイト収入は、ニセコ・バックカントリーのアフィリエイトリンク経由の販売により、例年より多くなりました。これらのアフィリエイトリンクからの収入すべてを北海道の山岳安全や利活用に取り組む団体に寄付する予定です(Hokkaido Wilds Foundationにご参照ください)。寄付用口座に、「Niseko Backcountry」の利益も追加することを期待していましたが、まだ次年度の印刷費用などをカバーできていませんので、今年は「Niseko Backcountry」から直接的に発生した利益はないことにしています。
2. 運営口座: 2022年度は、主に地図「Niseko Backcountry」の売上で運営資金をまかなうことができました。今年度は、任意団体として大きな収益事業を行うことが初めてでした。そのため、まだその運用などに不慣れなところが多いです。理想的には、ウェブサイトの経費を地図販売の収入で賄い、それ以上の利益を寄付することが本来の計画です。次回の地図印刷費用(約75万円)や2023年度に支払わなければならない税金などをためておきたいですので、まだ他の活動に寄付できるレベルには行けていないのが現状です。
寄付用口座 | ||
---|---|---|
収入 | ||
A) 前年度からの繰越 | 5,241 | |
アフィリエイトリンク | 17,533 | |
運用口座からの振替(地図販売の利益) | 0 | |
寄付口座の収入合計 | 22,774 |
寄付口座の支出 | ||
---|---|---|
支出合計 | 0 |
運用口座 | ||
---|---|---|
収入 | ||
A) 前年度の繰越 | 178,505 | |
寄付( 主にロブに支払われたHokkaidoWilds.org関連のコンサル料、講演料、委員会謝礼など) | 63,980 | |
地図販売(卸) | 887,134 | |
地図販売(アマゾン) | 258,022 | |
B) 収入合計 | 1,209,136 | |
経費 | ||
ウェブ関連(ライセンス料やホスティングなど) | 147,722 | |
地図販売の経費(地図開発、印刷、送料等) | 944,289 | |
備品(カメラレンズ) | 63,752 | |
C) 経費合計 | 1,155,763 | |
純資産*(2023年3月31日現在) (A+B)-C *2023年に支払うべき税金や印刷代などのために2023年に繰り越す。 |
231,878 |